2023年09月26日

本の紹介『中流危機』

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 2022年9月に「NHKスペシャル中流危機≠超

えて」が放送されました。これは、日本の中流層が危機に

置かれている実態を探った番組でした。

 本書は、NHKスペシャル取材班の番組制作に関わる著

作です。

 かって「一億総中流」といわれた日本、戦後、日本の経

済成長を支えたのは、企業で猛烈に働き、消費意欲も旺盛

な中間層の人たちでした。しかし、バブル崩壊から30年

がたったいま、その形は大きき崩れました。

 もはや、日本はかつてのような「豊かな国」ではなく先

進国の平均以下の国になってしまいました。

 バブル崩壊以降、日本企業は、グローバル化やIT技術

の革新といった、新たな潮流に遅れをとってきました。企

業が稼げなくなり、賃金が上がらず、消費が落ち込むとい

う負のスパイラルが続いてきています。いつしか「稼げな

い中間層」が固定化されました。

 日本の中間層がなぜかくも貧しくなったのか。そして、

負のスパイラルから抜け出すために、国や企業、そして個

人はいったい何ができるのか。日本人と日本経済を蝕むこ

の病巣に迫り、再生への処方箋を示されています。


     藤井直和



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2023年09月19日

本の紹介『中国経済 崩壊宣言!』

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 嘉悦大学教授の高橋洋一先生と中国から日本に帰化した

石平先生の対談本です。お二人の対談本は4冊目になると

のことです。

 中国の経済状態についてのデータには中国財務省がだす

ものと国家統計局からのものとがあるそうです。この二つ

の部局からの数字がどう考えても齟齬があると述べられて

います。そもそも中国の統計が異常なのは、消費の割合が

極端に低いことで、普通の国なら消費はだいたいGDPの

6割だが、それが4割にも達しないと。それを中国は投資

が大きいからと解説するのには無理があるとのことです。

 そして、粉飾統計は中国の国技であって、中国の経済は

マイナス成長であると断言されています。

 不動産バブルの本当の恐怖はこれからであり、そのバブ

ルは日本と全く違う次元のものだと。土地の使用権の売買

という意味でもそうだと。しかも経済を崩壊させないため

にはバブルを維持する以外にないのだとのことです。

 今後、中国がGDPで米国を超えるとの説があるが、中

国の経済活動は資本主義のルールと違いすぎていて経済力

は伸びない。よって中国が覇権を握ることもないと述べら

れています。


     藤井直和




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2023年09月14日

本の紹介『もしも戦国時代に生きていたら』

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 歴史学者で、NHK大河ドラマ「どうする家康」の時代

考証を担当されています小和田哲男先生が監修をされてい

ます。

 本書では、太田牛一の「信長公記」やルイス・フロイス

の「日本史」など、織田信長と同時代を生きた人々が書き

残した一次資料を主な材料として、天正十年の一月一日か

ら「本能寺の変」が起きた同年六月二日までの五か月間の

出来事を、日付を追って描いたものです。

 「本能寺の変」が起こるまでの半年弱の間に、信長やそ

の側近たちのまわりでどのような事件が起き、どのように

歴史が動いたかを知ることができるとのことです。

 安土城で接待を受けた徳川家康一行が上洛し、清水寺で

の能興行や酒宴でまた接待を受けたのが五月二十六日。翌

日には明智光秀が愛宕山に参詣し、里村紹巴らを招いての

連歌の会を催した。そこで光秀は「ときは今 あめが下知

る 五月哉」と発句を読み、謀反の決意を固めたとされて

います。

 そして、いよいよ「本能寺の変」のクライマックスへと

進んでいきます。



     藤井直和



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2023年09月08日

本の紹介『言い訳するブッタ』

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 京都文教大学教授の平岡 聡先生の著書です。

 先生の著書であります2冊の本を以前にご紹介いたしま

した。「南無阿弥陀仏と南無妙法蓮華経」では「法然」と

「日蓮」を比較されていました。「親鸞と道元」では浄土

真宗と曹洞宗の開祖の二人を比較されていました。

 本書で先生自身が述べられています。「私はこれまで、

研究書の出版を中心に仏教に関する著書を出版してきまし

たが、本書はこれまでとはずいぶん装いの違った内容に仕

上げたつもりです。仏教の知識がなくても、肩肘を張らず

に気楽に読める内容にしたとも書かれています。

 注意深く仏典を読むと、随所に涙ぐましいまでの言い訳

が仕込まれているそうです。

 先人たちが言い訳をしなければならなかった原因を「こ

うしたいという仏教者の理想」と「そうなっていない仏典

記述の現実」との間に矛盾があったかたらだ記されていま

す。


     藤井直和



posted by フジシステム at 10:41| ひとこと

2023年09月07日

本の紹介『絶滅する「墓」日本の知られざる弔い』

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 京都・嵯峨の正覚寺住職の鵜飼秀徳先生の著書です。大

正大学、東京農業大学、佛教大学で教鞭をおとりになって

います。先生の著書の紹介も8冊目となりました。

 本書は、過去にお書きになったどの本よりも取材に力を

お入れになっていると思います。取材現場が多岐に亘って

いますし、真実の証言を掴みとられています。

 日本各地における墓制の歴史を概観されています。それ

は縄文時代のストーンサークルに始まり、近世近代から終

戦後までのあらましです。

 口絵に18枚のカラー写真や文中の写真、イラストを多

用していただき、大変理解がすすみます。

 滋賀県各地にも取材にきていただき、当所、高島市安曇

川町の「埋め墓」「詣り墓」にみられる両墓制についての

考察や土葬がほとんどであった以前の葬送のときの葬列の

順番等は大変興味深い内容です。

 現代の弔いのあり方の変化についても考察をされていま

す。葬式の簡素化や墓じまいが、全国的に拡大してきてい

ます。散骨や樹木葬を希望する人も増えているそうです。

 アンケートの集計も掲載されていますが、多くの20代

前後の若者が「墓や墓参りは大事だ」という意識をもち、

「墓はいらない」と考えているのは少数派であることがわ

かったと書かれています。




     藤井直和



posted by フジシステム at 15:35| ひとこと

2023年09月04日

本の紹介『教養を磨く』

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 多摩大学名誉教授で、本年には、学校法人「21世紀アカ

デメイア」の学長に就任されました田坂広志先生の著作で

す。

 真の「教養」とは、本来、多くの本を読み、様々な知識

を学ぶことではなく、そうした読書と知識を通じて「人間

としての生き方」を学び、実践することであると記されて

います。

 だが、残念ながら、現代の「教養論」においては、しば

しば、そうした「生き方」という大切な視点が、見失われ

ているとも書かれています。

 これまで先生が上梓されました、「知性を磨く」「人間

を磨く」「運気を磨く」「直感を磨く」「能力を磨く」に

続く「磨く」シリーズの六作目です。

 本書の構成は、75篇の随想をテーマやジャンルごとに

分類していないものです。 

「宇宙論、歴史観から、話術、人間力まで」という副題

のとおり本書を縦横に味わってもらいたいとのことです。

 

     藤井直和



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2023年08月25日

本の紹介『日本の絶望ランキング』

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 元国税調査官で経営コンサルタントの大村大次郎氏の著

作です。大村氏の本の紹介も3冊目になりました。本作は

日本全体のことを捉えた内容です。

 「日本の国際的地位は下落している」「日本はこのまま

では衰退する」というようなことが最近よくいわれていま

す。

 また一方では、「本当は日本は強いんだ」「まだ日本は

世界一だ」などという人もいて、日本の国際的地位がどう

なっているのか、どの分野がどのように衰退しているのか

ということがなかなか見えてきません。

 そのため、さまざまな国際データを用いて、日本の客観

的な現在地を知ろうではないか、というのが本書の趣旨で

あると書かれています。

 国際的なデータ56個を使い、それぞれのデータのラン

キングを読み解き、今の日本の状況、現在地を明らかにさ

れています。


     藤井直和


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2023年08月21日

本の紹介『激安ニッポン』

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 元国連職員で著述家の谷本真由美さんの著作です。筆者

は現在はロンドンに在住です。日本、イギリス、アメリカ

イタリアなど世界各国で就労経験があるそうです。

 日本は他の国に比べて大変「安い国」になってしまった

と書かれています。「安い」というのはどういうことかと

いうと、外国に比べて外食や不動産、サービス、とにかく

すべてのものがとにかく激安なのだと。

 海外と比べて、日本の物価がいかに安いか、日本人の給

料がいかに安いか。そして、海外の人が日本の安さに目を

つけ、激安なものやサービスをどんどん買おうとしている

とのことです。

 本書では、日本がいかに安い国なのかをデータや事例と

ともに明らかにしていかれています。そして、海外の人た

ちが日本の不動産や医療サービスなど、ありとあらゆるも

のを買っている現状を紹介されています。

 日本がどうしてそんな安い国になってしまったのかを解

明し、日本人は日本でこれから生きていくうえで、どうす

れば幸せをつかむことができるかを解説されています。




     藤井直和



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2023年08月15日

本の紹介『消齢化社会』

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 博報堂のシンクタンク博報堂生活総合研究所が出版され

た書籍です。副題が「年齢による違いが消えていく!生き

方、社会、ビジネスの未来予測」です。

 価値観や嗜好の多様化が進み、生活者をまとまりで捉え

ることが難しい。大衆から分衆そして個へと流れは向かっ

ているといわれます。

 ところが、博報堂生活総合研究所が1992年から続け

ている長期時系列調査「生活定点」の分析過程で興味深い

現象があったとのことです。最新の調査結果を20〜30年前

と比べると、かつて年齢によって大きかった価値観や嗜好

の違いが、年々小さくなっていることがわかったのだと。

 性や年代などの属性を軸にした従来のマーケティングが

発想の転換を迫られるかもしれないのです。そこで、30年

分の膨大なデータを詳細に分析して背景を探るとともに、

この先に起きる変化を予想されました。

 そして、間もなく平均年齢が50歳になる日本を「消齢

化社会」と名付けられました。

 5人の有識者の方々へのインタビューでこの「消齢化社

会」を多面的に考察し、この状態にあって発想を転換する

ための「8つのヒント」を述べられています。


     藤井直和


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2023年08月11日

本の紹介『買い負ける日本』

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 未来調達研究所で調達・購買コンサルタントとして活躍

されています坂口孝則氏の著書です。

 これまで「買い負け」とは、主に食料関係のニュースで

使われてきました。他のアジア各国に魚類などを高値で競

り落とされた報道に触れることが多かった。しかし、その

「買い負け」が食料だけではなく、さまざまな商品に広が

り、さらに日本の多くの企業に影響を及ぼしています。

 近年の日本企業の買い負けは、コロナやロシアのウクラ

イナ侵攻などの外因だけではなく、日本の内因がついに表

出したとのことです。

 その内因とは、まず日本経済の凋落であると。それと企

業自身にある内因であると指摘されています。調達が多層

構造ゆえに全体が見えていないこと。要求品質が過剰で仕

入先から敬遠されていること、さらに決断の遅さ。これら

はかつて日本企業が成長した特性ともいえたが、しかし現

在はそれらが逆回転し始めているのだと。

 買い負けて売ってもらえない国になった日本、どうして

売ってもらえなくなったのかを分析されています。また、

売ってもらえない国から脱出するための提言として12の

提案を記されています。



     藤井直和



posted by フジシステム at 15:58| ひとこと