2019年01月16日

本の紹介「仏教抹殺」

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 鵜飼秀徳氏の著書を紹介するのも4冊目となりました。本書

は明治維新のときに行われた、寺院を破壊するという廃仏毀釈

の痕跡を全国調査するという、過去に例をみないことをまとめ

た本です。前に上梓された著書同様に、筆者の真面目で地道な

取材の成果によって生まれた本です。

 昨年、2018年は明治維新から150年目となる年でした。

明治維新という物語は、文明開化、殖産興業、富国強兵とどの

ページをめくっても、美談ばかりが語られる。しかし、華やか

に歴史の陰に、目も覆わんばかりの痛ましい事実が隠されてい

たのである。それが本書で取り上げる1868(慶應4)年に

出された一連の神仏分離令にともなう、仏教への迫害・破壊行

為「廃仏毀釈」であると記されています。

 新政府は万民を統制するために、強力な精神的支柱が必要と

考え、王政復古、祭政一致の国づくりを掲げ、純然たる神道国家

を目指した。その時、邪魔な存在だったのが神道と混じり合っ

ていた仏教であったとのことです。この時点では、新政府が打

ち出したのは神と仏の分離であり、寺院の破壊や仏像の破却を

命じたわけではなかった。だが、時の為政者や市民の中から、

神仏分離の拡大解釈する者が現れ、仏教に関連する施設や慣習

などをことごとく壊していった。これが廃仏毀釈の概要だと書

かれています。

 廃仏毀釈の最初の大きなアクションは、仏教の一大拠点であっ

た比叡山の麓の日吉大社(滋賀県大津市坂本)で起きたそうで

す。神官たちが徒党を組んで社から僧侶を追いだし、仏像仏具

を毀し始めた。これが後に全国に波及していく廃仏毀釈の最初

であったそうです。

 「僧侶の堕落」を廃仏毀釈の四つの要因の一つにあげておい

でです。当時の仏教界の体たらくが廃仏毀釈をより過激にさせ

た面は無視できないと書かれ、浄土宗正覚寺副住職として、現

役の僧侶として、筆者自身がどうあるべきか、と問いかけてお

いでです。

         藤井直和


posted by フジシステム at 14:48| ひとこと

2019年01月07日

本の紹介「韓国・北朝鮮の悲劇」

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 国際問題アナリストとしてテレビ番組にも出演されています

藤井厳喜先生と筑波大学教授で朝鮮半島の地域研究者である古

田博司先生の対談本です。

 このお二人は60歳半ばの同年代で、気が合う主張とそうで

ない部分が相半ばしてなかなか面白い対談です。

 この本では2018年の北東アジア情勢を振り返りつつ、こ

れから数年先の断末魔国家・北朝鮮と、それを支援する中国・

韓国の思惑などを分析し、日本やアメリカはどう対応していく

のが国益に叶うのかを論じあっていきたいと思うと話されてい

ます。

 古田先生のお説で、歴史上、何度も同じ行動パターンをとる

と、それが子々孫々伝わり民族に染みついてしまう。このこと

を「歴史態」とお呼びだそうですが、「李氏朝鮮時代から遷延

(引き延ばし)策は、朝鮮人の伝統でした」と記されています。

 朝鮮半島の融和路線から見ると、韓国と北朝鮮の南北が連邦

制に動いていってしまうかもしれない。しかし、日本は関わら

ない方がいい。関わったところで、防衛ラインが玄界灘まで下

りてくるのは目に見えている。在韓米軍が根拠を失って撤退す

るでしょう。だから、「助けず、教えず、係わらず」の非韓三

原則を厳守するべきだとのことです。

 中国共産党の崩壊について、もしも、南シナ海紛争が勃発し

米中が一戦交え、目に見える形で、チャイナが敗戦し、軍の権

威が潰れることが、中国共産党の崩壊につながると思うという

ことで対談が盛り上げっています。


         藤井直和


posted by フジシステム at 18:44| ひとこと

2018年12月29日

本の紹介「上方らくごの舞台裏」

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 落語作家で狂言も書かれ、演芸の研究家でもあります小佐田

定雄氏の著書です。筆者は上方落語というものの存在に気づき、

その魅力に溺れてしまったと記されています。テレビで高座の

解説をされているお姿を拝見しますが、本当に嬉しそうに話さ

れています。

 著者が落語の魅力に溺れたのが1970年代のことだそうで

すが、その時の上方落語の中心は六代目笑福亭松鶴、桂米朝、

三代目桂春團治、三代目桂小文枝(後の五代目文枝)の俗に

「四天王」と呼ばれた四人の師匠連であったとのことです。

 その最後の「四天王」であった春團治師が2016年1月に

85歳で亡くなられたことで「ひとつの時代が終わった」との

思いであると書かれています。

 お亡くなりになりましたが、桂枝雀さんに始めて落語の台本

をお書きになったのが1977年のことで、もう40年の歳月

が流れたと感慨深く述べられています。

 2013年に「枝雀らくごの舞台裏」を書かれ、15年には

「米朝らくごの舞台裏」という本をお出しになっています。

 本書はその上梓された2作の姉妹編であり、完結篇であると

記されています。38席の精選された落語のネタに、六代目松

鶴師、三代目春團治師、五代目文枝師をはじめとする、彼岸に

渡ってしまった師匠方の思いでを綴り書き留めたものであると

のことです。


         藤井直和


posted by フジシステム at 13:28| ひとこと

2018年12月28日

本の紹介「からだの中から健康になる長寿の秘密」

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 三石 巌先生の著作です。先生は1901年に東京にお生まれ

で、東京大学大学院理学部物理学科の卒業です。

 1997年、享年95歳で死去されていますが、亡くなる2週

間前にスキーを楽しまれている写真があります。先生が亡くなる

まで実践された、脳、筋肉、骨が甦る「分子栄養学」健康法の解

説本です。

 知の巨人であります、渡部昇一上智大学名誉教授が「推薦者ま

えがき」として次のようにお書きです。「五十歳を超えた頃から

は、健康に関する本も読んで長生きしようという人並みのことを

やり始めた。そうして読んだ健康本の中で傑出しており、その後

の私の、また私の家内の健康の基本となったのは三石先生の御本

であった。」

 先生の開発されたものに「ヒトフード」というものがあります。

体の要求する全アミノ酸を過不足のないようにそろえたものに、

プラスアルファーした食品だそうです。それを販売する会社を先

生が中心になって設立されたそうです。その会社のキャッチフレー

ズが「分子栄養学に基づく栄養補完食品を製造販売する唯一の会

社です。」ということです。


         藤井直和


posted by フジシステム at 16:10| ひとこと

2018年12月26日

本の紹介「《唯識》で出会う未知の自分」

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 仏教学者で立教大学名誉教授の横山紘一先生の著書です。先

生は「唯識」のことを研究されています。また、「唯識塾」の

塾長として「唯識」の宣揚のための活動を行われているとのこ

とです。

 この本は、先生が以前、ある高等学校で一年間、倫理の授業

を受けもった時の講義内容をもとに、それに加筆されたものだ

そうです。

 「わたしはなぜ生きているのだろうか」という疑問を、あら

ためて思い出していただきたい。これからのあなたの人生が少

しでも豊かになればと願うばかりです、と記されています。

 本書の主張は以下の二点であると書かれています。既成観念

からの脱皮、それと同時に自己と宇宙とに対する深い洞察力の

養成。

 仏教での深層心理に相当する心は、すなわち、視る、聴く、

嗅ぐ、味わう、触れる、考えるなどの、感覚、知覚ないし思考

作用の底に、それらの諸作用を生み出す根源的な「心」がある

と考え、これを「阿頼耶識・あらやしき」というのだそうです。

「あらゆる存在は、この阿頼耶識が変化して作り出したもので

ある」となり、仏教ではこのような考えを「唯識思想」という

のだそうです。

 ものを作り出す根源あるいは輪廻の主体としての阿頼耶識が、

自分の心の奥底深くにひそんでいるなどという考えは、現代人

の私たちには及びもつかないことです。しかし、輪廻という概

念がなければ仏教思想という一大楼閣は、その土台からくずれ

さってしまうと述べられています。

 「わたしたちは何のために生きているのか」この問いに対す

る仏教の答えをお書きです。『それは、「真理に達すること」

です。では、真理に達するとはどういうことなのでしょう。そ

れは「輪廻の束縛を離れて自由となる」ことです。その自由は、

とりもなおさず「新たな創造」なのです』、と記されています。


         藤井直和


posted by フジシステム at 09:23| ひとこと

2018年12月12日

本の紹介「さみしさの研究」

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 ビートたけしさんの著作です。たけしさんは71歳におなり

になりました。普通のヤツならこの辺で「一丁上がり」ってこ

とで、人生のしまい方を考え始める頃だろう。だけどオイラは

そんな風には一度も考えたことがない、自分で「第38期黄金

時代」なんて言ってるぐらいだ、と記されています。

 しかし、オイラだって衰えるよ。「寄る年波」ってのは間違

いなくある。年相応の「さみしさ」ってのは感じるぜ、とのこ

とです。歳を取るのは残酷だと、昔の自分に比べ不自由さが増

していく、だから、多くの男たちは老いることに一抹の「さみ

しさ」を感じてしまう。だけど、「どう開き直るか」で老後っ

てのは変わってくる。積極的に老いを認めて、都合の悪いこと

はなんでも歳のせいにする。失敗しても「ジジイなんだから仕

方ない」と開き直る。怒られたら、ボケたフリをしてしまう。

「それでいいじゃねェか。」と小気味が良い。

 老後なんてのは「くだらなくて、みすぼらしい」のが当然だ。

それを「素晴らしいもの」「いいもの」にしようと思うから、

かえって辛くなってしまう。男が老いと付き合っていくという

こと、それはちょっとカッコつけて言えば、必ずやってくる

「さみしさ」とどう向き合うか、ということなんだと思う、と

書かれています。

 歳取ってから痩せようとかアンチエイジングなどに必死にな

るより、本を読んだり映画を観たり、芸術に触れるなり「話せ

る人」になるほうがよっぽど有意義だ。「内面を鍛える」って

のが大事になってくるんじゃないか、との説です。

 勿論、堅苦しい話ばかりではなく「相変わらずのヒンシュク

ものの毒舌」や「くだらない下ネタ」もガンガンしゃべってお

いでです。 読後はスッキリです。


         藤井直和


posted by フジシステム at 12:48| ひとこと

2018年12月08日

本の紹介「未来年表 人口減少危機論のウソ」

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 高橋洋一氏の著書をご紹介するのも9冊目になりました。世

論におもねるのではなく、一貫した主張には、惹かれ納得する

部分が多くあります。元大蔵官僚で現在は嘉悦大学で教鞭をお

とりです。本書では、人口減少危機論がいかに虚偽にまみれた

言説かを検証すると記されています。

 国立社会保障・人口問題研究所が日本の人口は、2065年

に約8800万人まで減少する一方で、高齢者の割合は4割近

くに上昇するとの推計を発表した。この推計に乗り、新聞、書

籍、経済紙、ネット記事に至るまで、人口減少時代に起こるで

あろう危機の予想や処方箋が考察され、人口増加こそが幸福を

もたらすかのような風潮だと。また、その火に油を注いだのが、

河合雅司氏の著書「未来の年表」だと断言されています。

 「人口減少危機論=人口増加幸福論」を支持するのは、主に

地方公共団体の関係者だと筆者は見ていると書かれています。

 人口の増減が経済へ与える影響を、GDPの成長率のデータ

分析で、経済活動に影響があるというのは「単なる思い込み」

に過ぎないと、切り捨てておいでです。

 一昔前、日本のデフレは人口減少による供給過剰だとの「デ

フレ人口原因論」が流行った。藻谷浩介氏の「デフレの正体」

がその火付け役だが、この説も「この訳の分からない俗論」と

一刀両断です。

 年金制度に関する3つの問題点や移民問題、雇用政策にも言

及されています。雇用政策にも係わる金融政策の成果について、

「人口減少はここ20年くらいずっと続いているにもかかわら

ず、金融緩和を実施した安倍政権と小泉政権以外の時は、就業

者数が増加していないという事実を知るべきだ」とお書きです。


         藤井直和


posted by フジシステム at 10:31| ひとこと