2019年05月13日

本の紹介「調べる技術 書く技術」

siraberu.jpg

 作家で元外務省分析官の佐藤 優氏の著作です。

 著者は、毎月平均2冊のペースで本を出し、抱えるコラムや

連載などの締め切りの数はひと月あたり約90になる。ひと月

に書く原稿の分量は、平均して1200ページ、字数にして約50万

字にもなるとお書きです。この膨大な創作活動は、膨大なイン

プットに支えられている。執筆のために、多い月では500冊以上

の本に目を通されるそうです。

 「本書は、私自身が専業作家として活動する上で心がけてい

る、必要な情報を『調べ』それをもとに『書く』といった、一

連の知的生産術をまとめたものだと記されています。

 読み取った情報を1冊にまとめたり、学んだ内容を学生に教

えたり、ラジオ番組で話したり、アウトプットを行う。インプッ

トとアウトプットの両輪がそろうことで、得た情報が自分の知

識になり、教養になるとのことです。

 知的生産の技法を磨き、さらには人間関係構築術、俗にいう

コミュニケーション能力を高める。そうすることで、読者が人

生そのものの充実度を高めていくというのが、本書の最終目的

だと述べられています。

 「知識を自分のものにする」とは、知識を記憶にしっかり定

着させ、必要なときに正しく引き出せるということであります

が、言うは易しであります。

 知的生産を高めるための調べる技術や書く技術、知的活動を

するための自分自身のインフラ整備の知恵など、幅広く述べら

れていますが、「知的生産力を高めること自体が大事ではなく、

知的生産を高めることで人生が充実することが最も重要なこと」

だと書かれています。


         藤井直和



posted by フジシステム at 14:09| ひとこと

2019年05月07日

本の紹介「さらば銀行」

saraba.jpg

 クラウドクレジット株式会社の代表取締役社長でいらっしゃ

います杉山智行氏の著書です。2005年に東京大学法学部を卒業

後、大和証券SMBCに入社されました。2008年にはロイズ銀

行東京支店に入行し、資金部長としてご活躍だったそうです。

 2013年にクラウドクレジット株式会社を設立し、投資型クラ

ウドファンディング・サービスを展開されています。

 この本のタイトル、「さらば銀行」は、氏が代表をお務めの

クラウドクレジット株式会社が2018年1月にテレビ東京の番組

「ガイアの夜明け」で紹介された時の番組タイトルだったそう

です。銀行という仕組みは何度かの金融危機を経て、どんどん

頑健なものになっていきました。しかし2019年現在、私たち日

本人は、銀行が本当に社会にとって必要な便益を提供している

のか、確信を持てない人のほうが多くなってしまっているので

はないでしょうかとお書きになっています。

 発展途上の新興国に足りないものが「資金」だそうです。そ

こでは、経済的に成長するのための原資・資金を必要としてい

るとのことです。この方々に「投資」として成長するためのお

金を届ける仕組みが、クラウドクレジットだそうです。

 日本の個人投資家と世界の資金需要者がWin−Winの関

係を作るサポートを行うことを目指しているとのことです。

 「クラウドクレジットの始め方」という章を設けて、解説を

されています。口座開設から実際の投資までと、図やパソコン

画面で分かりやすくお書きです。でも、元本保証の預金代わり

ではありませんと、はっきりと述べられています。



         藤井直和



posted by フジシステム at 12:48| ひとこと

2019年05月06日

本の紹介「親が創価学会」

oyaga.jpg

 宗教学者の島田裕巳先生の著作です。先生は新宗教に関する本

を多く執筆されていて、このブログでも紹介させて頂きました。

 「親が創価学会」、日本でもっとも規模の大きな新宗教、創価

学会の会員の家に生まれた人たちのことです。

 著者は色々なデータから、現在の創価学会の会員数を280万

人としています。既成仏教の宗派の中で規模の大きいところにな

ると、数では創価学会を上回るが、それらに比べて創価学会の結

束力は抜群に強い。

 けれども、現在では、創価学会以外の新宗教は大幅に信者の数

を減らしている。それは、信仰を子どもや孫に伝えることがうま

く出来なかったからだと。親が創価学会であるということはどう

いうことなのか。それはどのような問題を生むのか。そして、そ

ういう問題に、どのように対処すればよいのだろうか。そうした

事柄をこの本で考えると記されています。

 現在の創価学会は、日蓮正宗と決別し、それを強く批判してい

ますが、信仰の基盤に日蓮の思想があることには変わらない。

 そして、二代会長、戸田城聖が強く訴えた「現世利益の実現」

という考えが浸透しています。また、「宿命転換」と呼ばれる個

人の境遇は信仰によって根本から改まるとの考えがあります。

 創価学会では「一家和楽の信心」というスローガンがあります。

一家が信仰を共通するということです。しかし、生まれた時に自

動的に信者となったが、成長と共に疑問や違和感を感じる二世三

世以降がいるのは当然の成り行きです。「親が創価学会」である

人間が組織をやめようとすれば、家族との縁を切るしかない。そ

ういうことは十分に起り得ると。「重要なことは親が創価学会で

あることをどのようにとらえるか、なのである。」と書かれてい

ます。

 

         藤井直和



posted by フジシステム at 11:44| ひとこと

2019年05月05日

本の紹介「せつない京都」

setunai.jpg

 生粋の京都人であることと旅行好きであることを生かし、京

都や旅のエッセイを数多く執筆されています柏井壽氏の著作で

す。還暦よりも古希のほうが近い年齢になったとお書きです。

 京都市北区で歯科医院を営む傍ら、エッセイストとして、ま

た、テレビや雑誌の京都特集の監修やコーディネーターを務め

ていらっしゃいます。柏木圭一郎の名義で京都を舞台にしたミ

ステリー小説をお書きになっています。「美食カメラマン星井

裕の事件簿」のタイトルでテレビドラマ化されたものもあると

いう、多彩な歯医者さんです。

 沢山の著作をとおして素敵な京都の街を、その想いをたくさ

ん伝えたが「伝えきれなかった言葉が、ひとつだけあります。

それは《せつない》です。」と記されています。

 「京都とは、なんとせつない街だろう。六十年をゆうに超え

る時間を過ごしてきて、何度そう思ったか数え切れません」と

のことです。雅な京都は、その背後に悲劇の都という顔を持って

いるのですね。せつなさがこの京都という街の「美しさ」につ

ながっていて、多くの人がこの街に否応なく惹かれ、囚われて

しまう理由は、せつなさのせいかも、と書かれています。

 せつない神社、せつないお寺と、誰もが知っている有名な神

社仏閣から、京都人でもあまり知らないお寺などのせつない話

を語っておいでです。また、その神社などの周辺の美味しい食

べ物屋さんを紹介されています。

 京都の街の「せつなさ」の根底に流れているのは、つつまし

く暮らしてきた人々の思いや願いだと、そしてそれを美しいと

感じるのは、たえず謙虚さを保ち続けてきたからだ、謙虚さを

なくした驕りからは、決して「せつなさ」は生まれませんとは

先生のこの本の執筆の気持ちだそうです。



         藤井直和



posted by フジシステム at 16:16| ひとこと

2019年04月30日

本の紹介「なぜ論語は『善』なのに、儒教は「悪」なのか」

nazeronngo.jpg

 中国四川省成都市出身で、日本に帰化した石平氏の著作です。

 孔子の「論語」と、朱子学とそれが生み出した礼教とが異な

るものであること。あるいは「儒学」「儒教」といわれるもの

ともまったく違う、同一視する今までの学術上の定説と歴史上

の通説は、まったく間違っていると断じておいでです。

 「孔子とは何者か」という命題を立てて、徹底的に解明され

ています。そして、孔子は「完璧にして理想的な人間」ではな

い、彼にもさまざまな人間的弱みがあって人格的な欠陥もあり、

良くない感情も悪い癖もっているのだ。もちろん彼は優れた人

物であるが、同時に、ときにはわれわれ普通の人間とそんなに

変わらない側面を見せる時もある。つまり彼は決して、後世の

人々が理想化したような「聖人」ではないとのことです。

 孔子は、紆余曲折の人生の最後に「弟子三千人」を育てると

いう天下一の大教育者となり、彼と弟子たちとの会話が収録さ

れている「論語」という書物はまた、時代と国境を越えて、今

でも多くの人々に読まれている。このような人生を送った孔子

はやはり、われわれ常人とは違う志の高い人間であり、大変な

努力家であり、そして人生の艱難を知り尽くした苦労人である

とされています。

 春秋時代の孔子のことから、前漢時代の「孟子」「荀子」と

朱子学・礼教の功罪を詳しく論じられ、日本に渡ってきた儒教

についても考察されています。

 本書では、多くのページを使って「論語」と「儒教」とはまっ

たく別々のものであることを立証してきた。そして、「論語が

われわれの人生にとって有意義な「善」の書であるのに対し、

朱子学と礼教を含めた「儒教」は結局、政治権力の正当化と人

間性の抑圧を本領とする「悪の教学」であったことを、明らか

にしたと記されています。



         藤井直和



posted by フジシステム at 11:58| ひとこと

2019年04月28日

本の紹介「神社から読み解く信仰の日本史」

jinjyakara.jpg

 宗教学者の島田裕巳先生の著書です。

 現在の私たちは、神社というものは、鳥居と拝殿と本殿から

なるものだという固定観念を抱いている。時代を遡ると、それ

は古代からのことではないと書かれています。奈良の大神神社

には拝殿はなく、その奥にある三輪山が神体山になっているこ

とはよく知られています。昔は、神社の社殿に神が常駐してい

るとは考えられていなかったそうです。したがって、寺社建築

に比べて神社建築の歴史は浅いとのことです。神は社殿に常駐

するのではなく、祭祀を行うたびに呼び出す存在だったのです。

 本書で試みるのは、歴史の長い神社を軸に日本の歴史を考え

直そうとすることであると記されています。時代は変化しても

日本人は常に神を祀るという行為を重視してきました。しかし

そこには政治ということが深くかかわってきた。そんなことを

踏まえて、神への信仰の場である神社は、いったい日本の歴史

のなかでどういった役割を果たしてきたかを考察されています。

 神社を軸に日本の歴史を考え直すという試みは、これまで十

分にはなされてこなかった。そこには、神道という宗教が開祖

も教義も経典もなく、語ることが難しいということがかかわっ

ているのだろうと述べられています。

 一説には、日本の神社の数が8万社に及ぶそうですが、神主

は1万人ほどしかいなく、社の数に対して神主が圧倒的に足ら

ない現実があります。それは仏教寺院における僧職の人数にも

同じような傾向があるそうです。

 各地の神社の写真や国立国会図書館の所蔵の絵などをふんだ

んに使って、分かり易く書かれています。


         藤井直和



posted by フジシステム at 16:55| ひとこと

2019年04月24日

本の紹介「三河吉田藩・お国入り道中記」

mikawa.jpg

 筆者は久住祐一郎氏、豊橋市美術博物館の学芸員の先生です。

江戸時代の東海道沿線における風俗、商業、経済等の論文を

沢山お書きだそうです。

 本書は参勤交代の制度史や意義付けを論じようというわけで

はない。江戸時代に何万回と繰り返された参勤交代のうちのたっ

た一回に焦点をあて、残された古文書を読み解いていくことで

その実態を紹介しようという、きわめてミクロな視点の本であ

ると自身で記されています。

 今回取り上げておられるのが、天保12(1841)年に三河吉

田藩七万石の若殿松平隼人正信宝が、江戸から吉田(愛知県豊

橋市)までお国入りした参勤交代であります。江戸時代後期の

吉田藩主は松平伊豆守家で「知恵伊豆」として有名な家だとの

ことです。

 この参勤交代の取りまとめ役を任されたのが、当時35歳の

吉田藩士大嶋左源太豊陳というお方です。

 本書は大嶋家文書及び関連する古文書を活用しながら、松平

伊豆守家と大嶋家という1組の主従の歴史を題材に、吉田藩の

若殿様が初めてお国入りする参勤交代を軸として、内側から見た

大名行列の姿と、懸命に働く江戸時代の武士の実像を紹介され

たものです。


         藤井直和



posted by フジシステム at 12:02| ひとこと