2021年03月05日

本の紹介『大河ドラマの黄金時代』

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 映画史・時代劇研究家の春日太一氏の著作です。

 本書は、NHK大河ドラマがどのようにして作られたかを検

証した本であると書かれています。1963年の第1作「花の生涯」

から91年の「太平記」までを取り上げられています。

 この本は、作品の批判や内容分析などではなく、大河ドラマ

各作品の制作にたずさわった、NHKのプロデューサーとディ

レクターの証言のみによって構成されています。筆者の地道な

取材とインタビューで書かれたものです。

 毎年の大河ドラマの企画はどのように生まれたのか。キャス

ティングはどのようにして組まれたのか。現場では、どのよう

に撮影していたのか。そして、作り手たちはどのような思いを

込めたのか。そのことが、一作品ごとに書いてあると記されて

います。また、作品ごとの平均と最高の視聴率が付記されてい

るのも興味を引きます。

 テレビ放送の開始からちょうど10年が経った1963年、大河

ドラマが始まったそうです。勿論、この段階では「大河ドラマ」

という枠全体の名前はなく、1年の放送を最後までできるとす

ら、関係者の大半は思っていなかったそうです。

 1973年の大河は「国盗り物語」でした。司馬遼太郎氏の原作

による戦国時代を舞台にした作品です。油売りから美濃一国の

大名に成り上がった斎藤道三、、その娘婿の織田信長、信長に

仕え討ち果たす明智光秀。原作本も読み、毎週の放送が楽しみ

だったことを思い出します。

 大河ドラマだけでなく、「水曜時代劇」「新大型時代劇」と

いう別枠の時代劇シリーズにも触れられています。

 作品の舞台裏にこんなドラマもあったのだと、そんな驚きの

連続の一冊です。 




         藤井直和




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2021年03月04日

本の紹介『上杉鷹山』

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 千葉大学准教授で歴史学者の小関悠一郎先生の著作です。

 米国大統領のジョン・F・ケネディーが、日本の記者の「日

本で一番尊敬する政治家は」との質問に上杉鷹山と答えたのは

有名な話です。また最近では、菅義偉総理が「自助・共助・公

助」を理念として掲げましたが、これはもともと上杉鷹山の思

想だったと言われています。

 1983年に、作家の童門冬二氏が「小説・上杉鷹山」を上

梓されました。当時、その本を読み感銘を覚えたものです。

 上杉鷹山とその改革は、幕末期の米沢藩が実現した「富強」

の原点です。欧米列強の圧力が強まり「富強」「富国強兵」の

語が重要性を帯びて政治的に浮上する中で、上杉鷹山と米沢藩

は評価されていたとのことです。

 鷹山は、組織改革・経営改革のリーダーであります。その魅

力は、改革の手法や考え方、親しみやすい言動です。そんなこ

とで、現代的な経営の精神を理想的に体現した先人として見直

されて、また今、社会的な関心を集めているようです。

 本書では、改革に尽力した家臣にも焦点を当てられています。

奉行であった竹俣当綱を中心とした前半の改革。莅戸善政らの

活躍。儒学者の細井平洲の招聘、藩校興譲館の設置などにも言

及され、名君の後ろには名臣の支えがあることを教えてくれて

います。 

 

         藤井直和




posted by フジシステム at 11:21| ひとこと

2021年03月01日

本の紹介『いつまでも親がいる』

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 宗教学者の島田裕巳先生の著書です。副題は「超長寿時代の

新・親子論」です。島田先生の本をご紹介するのは、30冊を

超えました。

 人が世界をどのようにとらえるかは「世界観」と呼ばれます。

この世界観の形成ということに宗教が深く関係しているとのこ

とです。本書では、とかく難しい親子の関係を、世界観にまで

遡って考え直していきたいと思うと書かれています。

 現在は超長寿社会です。「人生100年時代」と言われてい

ます。それは、いつまでも親が生きている、そういう時代になっ

たわけです。そのなかで、子どもはどう自立していけばいいの

か。新しい問題が浮上している。親が生きていれば、子どもが

制約されることもある。今や、親子関係は新しい状況に立ち至っ

ていると記されています。

 親子関係というものは、世界的にみるとかなりの違いがある

ようです。そのへんを、宗教学者として考察されています。一

神教の世界では、神が親であり、その分、人間の親の比率は軽

いそうです。また、西田幾多郎の哲学を考えるなかで、合一と

いうことが日本の文化のなかで重視されているのだとお考えで

す。ただ、親子合一は、日本に特殊で、しかも、現代に特有な

経験なのだそうです。



         藤井直和


posted by フジシステム at 10:43| ひとこと

2021年02月25日

本の紹介『百田尚樹の新・相対性理論 人生を変える時間論』

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 ベストセラー作家の百田尚樹氏の著作です。時間の本質を知

れば、人生が一変する。「時間の概念を変える」ということに

気が付き、この発見を「新・相対性理論」と名付けたと書かれ

ています。これは勿論、アインシュタインの「相対性理論」か

ら拝借されたものです。

 アインシュタインは、絶対不変なものは光の速度であって、

それをもとにすれば、時間は早くなったり遅くなったりするこ

とを発見しました。しかし、実は人類は何万年も昔から、時間

は延びたり縮んだりすることを知っていたとのことで、人類は

「時間の概念を変える」ことで「長生き」が可能だということ

に気付いたのだということです。

 「充実した時間が少なければ寿命が短い」ということは「充

実した時間が多ければ寿命が長い」。つまり、物理的な時間は

同じでも「長生き」できるということに気付いたのだというこ

とです。

 人間の行動や心理は、実はすべて「時間」が基準になってい

るというのが、「新・相対性理論」の基本的な考え方だとのこ

とですが、人生における「時間」の濃淡についても考察されて

います。なぜ、年齢で「時間」の流れの速さが変わるのかとい

う問題です。

 人類が何万年もの昔から「人生の時間」を延ばすために頑張っ

てきました。人類がこれまでに開発してきた様々な道具や機械

はすべて「時間を短縮するもの」であり、それによって人類は

余分な時間を得ることができました。それは「長生き」するの

と同じだということです。

 人間の営みや社会的事象は、すべて「時間」が基準になって

いるというのが、この「新・相対性理論」の基本概念だという

ことです。



         藤井直和




posted by フジシステム at 11:09| ひとこと

2021年02月24日

本の紹介『日本企業の復活力 コロナショックを超えて』

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 国際大学学長の伊丹敬之先生の著作です。国際大学は1982年

に、元日本興業銀行頭取の中山素平氏が創立者となり、財界4

団体が発起人となって、「グローバル人材育成のために」つく

られた大学院大学です。教育はすべて英語で行われ、留学生が

圧倒的に多い大学だそうです。

 現在、コロナショックは企業活動にきわめて深刻な影響を与

えています。本書は、日本企業の現在と未来がこのパンデミッ

クでどのように影響を受けるか、そして日本企業はどのような

対応を迫られているかを俯瞰的に考えようとするものだと記さ

れています。「ウィズコロナ」の時期だけでなく「ポストコロ

ナ」時代の日本企業が歩む道を考えるとのことです。

 先生は、コロナショックはバブル崩壊に次ぐ深刻さだと言わ

れます。オイルショックやリーマンショックよりも大きいと。

 「一配慮」を余分に他人に対してすること、「一手間」の余

分で細かい行動を惜しまない。これを当たり前のようにとる人

が日本人に多い。こういうことも、コロナ対応の自粛受容社会

のメカニズムのベースになっている、日本の強みだそうです。

 ポストコロナの時代に必要とされるのは、よりよい社会、よ

りよい世界への道に貢献したいという、いわば「利他」の精神

であろう。その精神を基礎に持ったうえで成長への努力をする

ことが、多くの人の協力を得らえる企業としての歩むべき道だ

と思えるとのことです。

 本書は、コロナショックという分水嶺であえてプラス思考で

戦略を考えようとする日本企業への、私からのエールであると

書かれています。


         藤井直和



posted by フジシステム at 14:01| ひとこと

2021年02月22日

本の紹介『日米開戦「最後」の真実』

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 米カリフォルニア州弁護士で、タレントとしてテレビでもお

馴染みのケント・ギルバート氏の著書です。

 アメリカでは、フランクリン・ルーズベルト大統領を貶める

批判はタブーで、特に、真珠湾攻撃に関する彼の真実は言って

はいけないことになっているそうです。

 20世紀の終わりから、真珠湾攻撃をめぐる様々な真実が明ら

かになっています。本書では、真実を追求し、ルーズベルトに

切り込みます。彼が何をやったのか、真実を明らかにしますと

宣言されています。同時に、アメリカのリベラル勢力たちの陰

謀を暴いていくと書かれています。

 前提として、大航海時代から第一次世界大戦までの、欧米諸

国は白人優位の意識のもと、全世界を植民地化してきたなかで

の、日本をめぐる国際環境を丁寧に描いておいでです。

 ルーズベルトは、自らの手も汚さず、アメリカ国民を参戦に

駆り立てるために、真珠湾の米兵やハワイの人たちを犠牲にし

てまで、日本を真珠湾への「だまし討ち」に追い込んだと。

 ルーズベルトには元々、激しい日本人への憎悪があったこと

と、権力へのあくなき欲求、そして、ソ連のスターリンの日米

開戦工作との合作だったと思われると記され、日本は、ルーズ

ベルトとスターリンにはめられたと断じておいでです。

 アメリカの第二次世界大戦における戦争責任の問題にも触れ

られています。

 昭和天皇の聖断により終戦が決定したことや、マッカーサー

との11回に及ぶ会談によって、マッカーサーが天皇の存在を

高く評価した様子などにも言及されています。



         藤井直和



posted by フジシステム at 13:48| ひとこと

2021年02月19日

本の紹介「新しい世界 世界の賢人16人が語る未来」

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 クーリエ・ジャポンが編集したもので、16名の世界の賢者

を集結させた「知のドリームチーム」といえる陣容のインタビ

ューをまとめた本です。
 
 本書を一言で形容するならばということで、「世界最高の知

性と洞察力を兼ね備えた、いわば『21世紀の賢人』たちが、

それぞれの専門分野の立場から世界のいまを分析しつつ、『世

界のこれから』について論じた1冊と言えよう」と書かれてい

ます。

 「世界の潮流」と「多様な価値観」を知るために、世界の主

要メディアから厳選された記事だけを翻訳・紹介するオンライ

ンメディアであります「クーリエ・ジャポン」から、特に反響

の高かったインタビューを中心に「コロナと文明」「世界経済」

「不平等」「アフターコロナの哲学」「私たちはいかに生きる

か」といったテーマ別に構成されています。

  
         藤井直和


posted by フジシステム at 16:47| ひとこと